過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……ああ。ひょっとしてもう見ちゃいましたか?」

「はい……!」

「……そっかあ、それで大我に会いに来たって訳か」

急に砕けた口調になってニヤリと呟く相良さんにこくこくと頷く。

「おいで。専務室に案内するよ」

そう言って相良さんは来た道を戻る。

慌てて後ろをついて行くと、2つのドアを通り過ぎて左側にある3つ目のドアの前で立ち止まり、コンコンとノックをした。

「どうぞ」

「お客様をお連れしました」

秘書モードに戻った相良さんがそう言ってドアを開けると、

「客?そんな予定はなかったはずだが」

訝しげな声を出す大我。

相良さんに促されて、彼の後ろからひょっこり顔を出せば、

「……羽衣?どうした?」

驚きで目を見開いて、デスクワークをしていたらしい大我がこちらまで近寄ってくる。

「お仕事中、こんなところまで来ちゃってごめんなさい!でもこれ……」

「………なんだ、もう見ちまったのか」

おずおずと雑誌を差し出すと、くしゃり、と襟足を掻き大我が苦笑いになる。
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