過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
なるほどそういうことならと、こんな素敵な家に住まわせてもらう分私は全力で家事頑張らせていただきます!と密かに使命感に燃えたのだった。

3LDKのこの家は2人で住んでも余裕があり、私に与えられた7畳ほどの和室も居心地が良い。

実家の自分の部屋が和室だったから、リビングダイニングの隅にある、襖で2面を仕切られた小上がりになっている和室を私の部屋にしてもらったのだ。

和室ゆえ収納もクローゼットじゃなく押し入れになっていて、落ち着くことこの上ない。

もちろんベッドではなく布団を敷いて寝ている。



「ごちそうさん。うまかった」



手を合わせていつの間にかキレイに平らげた食器を下げる大我。


大我はいただきます、とごちそうさま、は毎回きちんと手を合わせて言う。

美味しかったと、一言添えることも忘れない。

元ヤンなのに。

いつだったかそう指摘したら、

「お前、それはもう言うな。アレは若気の至りだ」

くしゃりと後頭部を掻き、彼は苦い笑いを漏らした。


あの当時は幼い反抗心と承認欲求を持て余して、"ちょっとだけ"荒れてたんだそうだ。
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