過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「ここで再会した時、これはもう運命だと思ったよ。だから、あの日からオレは決めていた」

私の頬を包み込み、その頬を濡らす温かい雫を優しく拭ってくれた後、大我は立ち上がりデスクの引き出しから何かを取り出す。

再び戻って来た大我の手には2つの箱。

どちらも手のひらサイズのそれは、1つはうちのロゴが入ったダークブラウンの箱で、ブルーのリボンが掛けられている。

もう1つはベルベッド素材のダークブルーの箱。

「本当は今夜言うつもりだったが、許せ」

伝えたい時に伝えるって決めたから。

そう呟いて私の前に膝まずいた大我が、真っ直ぐな眼差しで私を射抜く。

「plumage(プルーミジ)の生まれた理由。名前の由来。インタビューで答えたことは本当だが、あれは建前の方だ。これはオレがお前のために作ったチョコだ、羽衣」

そう言って大我はダークブラウンの箱をパカっと開く。

「今度はオレの作ったチョコでお前を喜ばせたかった」

キレイなブルーが涙で滲む。

溢れる涙を一生懸命拭ってそのブルーを目に焼き付けようとするのに、次から次へと止めどなくこぼれる涙に、全然追いつかない。
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