過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

epilogue

その日の終業後。

地下駐車場に行くとすでに大我が待ってくれていて。

連れて行ってくれたのはなんと、ディナークルージングだった。

だから暖かい格好でって言ってたのね……!

こんなに豪華な船に乗るのはもちろん、船上でディナーなんて経験も生まれてはじめてだ。


「大我っ、私こんな格好で大丈夫ですか?」

「問題ない。めちゃくちゃ可愛い」

「……っ」


不安になってそう尋ねれば、にっと笑った大我からそんな返事が返ってきて、色んな意味でドキドキうるさい心臓を抱えながら乗船する羽目になった。

案内されたのは窓際の席で、大きな窓から東京湾の夜景を眺めながらの大好きな人との食事はとても贅沢な時間だった。

すると、後はデザートを残すのみというところで突然ピアノの生演奏がハッピーバースデーの曲に変わり、バースデーケーキが運ばれて来て。

そのサプライズに驚いていると、

「……さすがにちょっと、ベタ過ぎたか?」

後ろ手に髪をくしゃりと掻き苦笑いの大我。

「そんなことないです!とっても嬉しいです!」

忙しい合間を縫ってこんな風に今日の日を計画してくれていたなんて、嬉しいに決まってる。

勢い込んでそう言うと、

「……良かった」

ほっとしたように眦を下げた大我にきゅんとなった。
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