過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
ーーただいま遥くんと坂崎さんがうちに晩ご飯を食べに来ているところ。
大我の膝の上に座るのは私たちの愛娘、環。もうすぐ4歳になる。
あのプロポーズから1年後の私の誕生日に、私たちは入籍をして結婚式を挙げた。
そして環を授かり、今お腹の中には2人目が宿っている。
まだ4ヶ月だから性別は分からないけれど、私は何となく男の子のような気がしている。
「しかし羽衣坊は結婚して子供産んでも全然変わんねえな」
「そうですか?」
「ああ。人妻で子持ちになっても変わらず可愛い」
「……おい、人の嫁捕まえて可愛いとか言うんじゃねえ。お前出禁にするぞ?」
「ははっ、いーじゃん別に、減るもんじゃねーし」
「いや、減る」
「……なんか懐かしいわ、このやり取り」
「ははっ、大我の羽衣ちゃん愛も止まるところを知らないね」
そんな2人を見て面白そうに笑う遥くん。
そんな遥くんの奥さんは、何と渚さんだ。
私と大我がモダモダしている時から私たちの知らないところで愛を育んでいたらしい。
2人の結婚式では感極まり過ぎて私が大号泣してしまい、"羽衣ちゃんがそんなに泣いてくれるから、私の涙引っ込んじゃったよ"と渚さんに笑われた。