過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

「パパ、ひとくちあげるね。あーん」

すると大人しく膝の上で大我のお土産のフルーツゼリーを食べていた環が、振り返って大我の口にスプーンを運ぶ。

「いいぞ?環が全部食べて」

「だーめ。おいしいからパパにもわけてあげたいの!」

「…そうか。じゃあもらう」

嬉しそうに目を細めた大我がパクっと食べる。

「うん、美味いな」

「はい、ママもあーん!」

「ママにもくれるの?」

「うんっ!ママと、おなかのあかちゃんにも!」

環が私にもスプーンを差し出してくれるから、キッチンから出て食べさせてもらいに行く。

「うんっ、美味しいね!ありがとう、環。お腹の赤ちゃんも、美味しいって言ってるよ」

そう言って頭を撫でてあげると環が嬉しそうに笑う。


「………おい遥、なんだこの絵に描いたような幸せ家族は」

「うん、この3人見てるとなんか幸せな気持ちになるよねえ」

「竜、お前もとっとと相手見つけて結婚しろ。そして二度と羽衣にちょっかい出すな」

「だめぇ!たまきがりゅうちゃんとけっこんするのー!」

ゼリーを食べ終えた環が突然声を上げて、大我の膝から飛び降り、坂崎さんにぎゅっと抱きつく。
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