過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「あ、ちびすけ、オレ今日夕飯いらない。会食ある」
「了解です。私も今日高校の時のクラス会があるから、ちょうど良かったです」
2つある洗面台に並んで一緒に歯を磨きながら、もごもご喋る。
「……クラス会?」
しゃこしゃこ軽快に磨いていた大我の手が止まる。
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「……聞いてない」
20センチ以上は上にある大我の顔を鏡越しに見れば、緩く眉間に皺が寄る。
「すいません、言った気になってました」
「どこで?」
「あ、わりと会社の近くですよ?"Ciao(チャオ)"っていうイタリアンのお店を貸し切ってやるみたいです」
「……ふーん。お前、酒よえーんだからあんま飲み過ぎんなよ?1人で帰れるか?」
「大我、大丈夫です。私もう小学生じゃないんですよ?」
くすくす笑ってしまう。