過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
大我は過保護だ。
なんせ京都の片田舎から生まれてはじめて東京に出てくる、たまたま再会した妹みたいな昔馴染みを1人で放り出すのは危なっかしいからと一緒に住まわせてしまうくらいだ。
まあはじめて会った時も最後に会った時も、私はまだ小学生だったんだから無理もない。
その延長でつい子供扱いしてしまうんだろう。
そういえば引っ越したばかりの頃、足りないものを揃えるために一緒に出掛けた時。
大我がちょっと目を離した隙にキャッチセールスに捕まった私は、キャッチセールスなんて初体験で、慌てて戻ってきた大我がセールスマンに睨みを効かせるまで律儀に話を聞いてしまい、"お前、ほんと危なっかしいところ全然変わってねえ"とため息をつかれたのを思い出した。
それ以来休みの日はしばらく1人で出掛けさせてもらえなかったなあ。
しかも、再会してからも私はずっとちびすけのままだ。
"ちびじゃなくなったら名前で呼んでやる"なんて約束、きっと大我は覚えてないんだろうな。