過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……可愛い……!」

そう言ってなぜかぎゅっと抱きしめられる。

「ねえねえ、羽衣ちゃん、その初恋の人とはそれきりなの⁉︎」

そしてぱっと離れたかと思うと恍惚とした表情で顔を覗き込まれた。

「あー、実は一応1年ちょっと前に再会しました……」

「きゃーっ!なにその少女漫画的展開はっ。私の大好物の展開!そこからなにか始まったりしてないの⁉︎」

興奮気味で私の背中をバシバシ叩く渚さん。

「……んー、してないですね」

今も昔も、彼にとって私は"ちびすけ"のままですから。

その勢いに目を白黒させながら心の中でだけそう付け加え、苦笑いで返す。

そして先に準備を終えていた渚さんを促して、私たちは1階の受付へと向かった。
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