過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
大我が専務になる時、"秘書にするなら遥がいい"と他社にいた遥さんをヘッドハンティングしてきたらしい。
昔からどちらかというと熱くなりやすいタチの大我のことを、常に冷静沈着な遥さんが上手く舵取りしている感じで、2人は昔からすごくいいコンビだった。
またこのコンビを見られるなんて、と私は密かに喜んでいる。
すると私をちらっと見た専務と視線が交わる。
そして片方の口角だけを持ち上げ、イタズラな笑みを残して専務はそのまま相良さんの後を追うように去って行った。
……その不意打ちはズル過ぎます、専務。
ふぅ。渚さんに悟られないようにそっとため息を漏らすと、
「……はぁぁぁぁっ。朝イチで専務と相良さん拝めるなんて、今日も1日頑張れそうっ!」
渚さんは私よりも深いため息を漏らし、頬を紅潮させながらぐっとガッツポーズをした後、すごい勢いでデスク回りを拭き始めたのだった。