過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……あぁ、もう!そうですよ!今まで一度も誰とも付き合ったことないですよ!でも、それは大我たちのせいなんですからね⁉︎小学生の時にいじめっ子から助けてくれた、強くて格好良くて優しくて、そんなヒーローみたいな2人の側にずっといた私が、それ以上の人を見つけられると思いますか⁉︎そんなの、どうしたって理想は高くなっちゃいますよ‼︎」

あぁ。私、大我に詰め寄られてついやけくそで、またとんでもなく余計なこと喋っちゃった気がする……。

思わず両手で顔を覆うと、その手を大我にぐい、と掴まれ顔から引き剥がされた。

………どうやら顔は隠させてくれないらしい。

「……羽衣。お前、オレたちが理想の男だったの?」

驚きで目を見張る大我に再び至近距離で見つめられる。

もう完全にアルコールのせいではない顔の赤みがじわじわと広がっていくのが自分でも分かってしまう。

さっきまで肌寒いと感じていた風も、この顔を冷ましてくれるほどではない。

顔を隠せないなら背けるしかない。

両手を拘束されたまま、大我の視線から逃れようと精一杯顔を背ける。

「………気付いた時にはそうなってたって話です………」

さっきの勢いは何処へやら。最後は尻すぼみになってしまった。

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