過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
ーーそして私のファーストキスをよりにもよってディープな方で奪っていった、こんな、まるで獣のような色気を放つ大我も私は知らない!
「ファっ、ファーストキス……っ!」
「ああ、何処の馬の骨とも分からないヤツに奪われなくてよかったな」
「そっ、そんなの、過保護が過ぎます……!はっ、離して………!」
顔を真っ赤にして視線を泳がせながらあわあわする私を、意地悪さの中にふんだんに色気を滲ませた笑顔で見下ろす大我。
その大我の胸をぐいぐい押してとにかく精一杯距離を取ろうとするが、ぐっと腰を支えられているせいで全然距離が開かない。
そんな大我から視線は逸らしたまま、私は必死に呼び掛ける。
「……たっ、大我っ、私が誰だかわかってますかっ⁉︎」
「……ん?羽衣だろ?」
「ちびすけですっ!あの、ちびすけですよ⁉︎」
「ああ?だから、羽衣だろうが」
怪訝さを滲ませた声に一瞬元ヤン臭が漂って怯みそうになるけれど、私は続ける。