過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜


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「……羽衣。今日遥が羽衣の飯食いに来る」

「……っひゃあ……っ!」

食べ終わった朝食の食器を食洗機に掛ける前にごしごし洗っていると、急に背後から腰に腕が回ってきて耳元で囁かれ、腰が抜けそうになる。

くくっ、と喉の奥で笑いを噛み殺している大我に、

「そういうことは普通に伝えてくださいって言ってますよね⁉︎」

と耳を押さえて顔を真っ赤にしながら抗議する。

「羽衣のその反応が面白えから」

そう言ってひらりと私から離れ、悪戯っぽく笑う大我は高校生の頃のまんまだ。



あのファーストキス事件から数日。

大我は宣言通り私のことをちびすけではなく羽衣と呼ぶ。

そしてあれ以来貞操は守られているが、今までよりもなぜかスキンシップが増えた。

そう、今みたいに。

大我は昔から私のことを揶揄ってはその反応を見て面白がっていた。

再会してからはそんなこともほとんどなかったのに、どうやらここへ来て元来のイタズラ好きの性分が出て来てしまったらしい。

それもこれも、私が今まで誰とも付き合ったことがなくて男の人に免疫がないとバレてしまったせい。

わざとそういうスキンシップをして顔を真っ赤にして怒る私を見て楽しんでる。

悪趣味だ………!
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