過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
悔しいから意識しないように意識しないようにと頑張っているけれど、思えば思うほどにあの日の大我の優しく触れる唇だとか、かと思えば強引に割って入ってきた熱だとか、そっと長いまつ毛が伏せられた色っぽい顔だとか。

そういうのが浮かんできてしまって全然ダメ。

しかもそういうスキンシップに免疫のない身体は素直に反応してしまうから困る。

なのに大我は全然普通。というか全然余裕。

経験値の差が歴然過ぎて、意識しちゃってる自分がバカみたい。


「……遥くんのリクエストはなにかありますか?」


なんとか平静を装ってお皿洗いを再開させながら聞く。

「和食が食いたいらしい」

「了解です。帰りスーパーでちょっと買い物してから帰りますね。帰る時間分かったら連絡下さい」

「ああ、分かった」

そう言って大我は私の頭をぐりぐりしてキッチンから出て行った。

頭ぐりぐりは昔からされ慣れてるからどうってことないんだけどな。
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