過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜


帰宅後、作り置きしていた筑前煮とかぼちゃの煮付けに加えて、豚の生姜焼きをメインに揚げ出し豆腐ときのこと秋野菜の味噌汁を作った。

トークアプリで大我から送られてきた帰宅予定時間に合わせてダイニングテーブルに並べ始める。

するとタイミングよくかちゃりとドアの開く音がして、数秒後には「ただいま」「お邪魔しまーす」と言う声と共に2人がリビングダイニングに入って来た。

「大我、遥くんお帰りなさい。ちょうど準備ができたところですよ」

メインの生姜焼きを運びながら2人に告げると、

「うわー、すごい美味しそう」

生姜焼きを目で追いながら手を洗う遥くん。

着替えて来る、という大我を待っている間に私はご飯とお味噌汁をよそってテーブルに並べる。私と遥くんが並んで座り、いつものように私の向かいに大我が座る。

全員揃ったところでいただきます、とそれぞれが食べたいものに箸を伸ばした。


「はあ……。美味しい。やっぱり沁みるねえ、羽衣ちゃんの手料理は」

真っ先に生姜焼きを頬張り、さらにご飯をひと口。

味わうように噛みしめて飲み込んだ後、遥くんはしみじみ呟いた。
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