過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……ああ」

プライベートでは遥くんが饒舌だからか、大我は割と寡黙になる。

「いや、もうなんかあの頃は一丁前にタメ口とかきいててすみません……」

今考えると小学生が高校生に、しかも地元一の不良と言われていた2人にタメ口とか、あの頃の私、なんて怖いもの知らずだったんだろう………。

「あはは!今さら?っていうかむしろそれが嬉しかったんだよ、オレらは。あの頃オレたちに寄ってくるの不良ばっかでさ。だから羽衣ちゃんが大我、遥くん!って慕ってくれるの、可愛くてさあ」

遥くんはその頃を思い出しているのか、揚げ出し豆腐をひと口頬張りながらメガネの奥の眦を下げて懐かしむように視線を上へ向けた。

「あ、そうだ羽衣ちゃん覚えてる?羽衣ちゃんオレたちと仲良くなってから、ランドセルに大量の絆創膏入れて持ち歩くようになってさ。オレたちがケンカでケガするたびにそれ貼ってくれんの」

「……覚えてます」

……そんなこともありましたね……。
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