過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
ケンカ沙汰が日常茶飯事だった大我と遥くんは会う度にいつもどこかケガをしていて。
それは顔だったり手や腕だったり、その時々で様々だったけど。
こんなのケガのうちに入んねーよ、唾つけときゃ治るって2人は言うけど、小学生の私からしたらそれは充分痛そうで。
だから私が絆創膏を持ち歩いて2人のケガを見つける度にペタペタ貼ってた。
「でもその絆創膏が、またキャラクターもののすっごい可愛いやつで。それ鼻の頭に貼られた大我の顔は傑作だったな。地元じゃ最強の狂犬も、羽衣ちゃんにかかれば形なし」
「お前も似合ってたけどな」
大我がニヤリと笑う。
「そう?」
「うっ……、なんかすいません……」
可笑しそうに笑い合う大我と遥くんに、筑前煮の蓮根を摘みながら私はもう苦笑いするしかない。