過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
軽く昼食を食べてから、14時の予約に間に合うように家を出る。
東京初心者の私にとって、最初、美容院という場所はとってもハードルが高かった。
だって東京の美容院って、オシャレでキラキラしてて、やっぱり地元の美容院とはなんか違う。
大我に言ったら笑われたけど、それならと大我の知り合いの行きつけだという美容院を紹介してくれて、今日が2回目の来訪だ。
予約時間5分前。そこかしこにグリーンが散りばめられた、木の温もりが感じられるナチュラルテイストな店内に足を踏み入れ、14時から予約している花里です、と受付のお兄さんに告げる。
「お待ちしておりました」
重ための前髪にアッシュグレーのマッシュヘア。
耳にいくつも光るピアスがちょっと怖いけど、にこっ、と笑えばその雰囲気が一気に和らぐ。
少し待合いの椅子で待たされた後、お待たせしました、と中へ通される。