過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
しかもつい最近もその話をしたばかり。

羽衣坊って呼ばれ方もなんだか懐かしい感じが……。

でもその顔に見覚えは……あまりない。

「あ、やっぱり?さすがにそうそう同姓同名のいる名前じゃないし、よくよく見ると何となく面影ある気がする」

「……なっ、どっ、えっ⁉︎」

でも私のリアクションで私が"羽衣坊"であることは確信したのだろう、坂崎さんは話を進めていく。

私はというと、いろいろ聞きたいのに驚きのあまり意味をなさない音しか口から出て来ない。

「ふはっ。"南高の竜"って覚えてない?」

すると坂崎さんは可笑しそうに笑ってヒントをくれる。

"南高の竜"。確かその名前もつい最近………って!

「……私が乗り込んで行った不良グループの人⁉︎」

「……ご名答」

鏡越しに妖艶に微笑む。

記憶の中の高校生の坂崎さんを今の坂崎さんに重ね合わせてみるけれど、全然雰囲気が違う。

だってあの頃の坂崎さんは髪型もツンツンで、いかついアクセサリーなんかもジャラジャラつけてて………。

「……なんか、丸くなりましたね……?雰囲気が(髪型も)」

「お前はおてんば感が抜けたな?」

目をまん丸にして驚く私に、坂崎さんは面白そうに目を細める。
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