過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

「……羽衣坊。気持ちが育っちまうのは止められないもんなんだよ、どんなに誤魔化そうとしても。それは側にいようが離れようが変わらない。だから今抱えている黒くて汚いその気持ちごと、自分と向き合うしかない」


……まるで、心の中を読まれちゃったみたい……。


「向き合わないまま言い訳して逃げるな。はじめてのその気持ち、ちゃんと大事にしてやれ」

はじめての、気持ち……。大我に恋する、キレイなだけじゃないこの気持ちを大事に………。

「……坂崎さん……」

「でも痛くて苦しくて、どうしても逃げたくなったその時は、いつでも連絡して来い。一時避難場所くらいにはなってやる」

そうやってにかっと笑った坂崎さんが、ようやく高校生の時の坂崎さんと重なった気がした。


「それにまだ助手席の女が大我にとっての特別だと決まった訳じゃないしな。案外聞いてみたら、思ってたのと全然違う答えが返ってくるかもよ?」

それには曖昧に微笑んでおく。

……上手く、笑えただろうか?

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