過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
そんな話をした数日後、桃ちゃんは"はい、ウイウイにこれやるよ"と、私の手のひらにぽん、と可愛い小袋を乗せてくれた。
かろうじて私の手のひらになんとか乗るくらいの大きさ。
"なあに?これ"
"開けてごらん"
開けて手のひらに出してみれば、それはキレイなブルーの花びらのような小さなピアスだった。
"うわあっ、キレイ……!"
"紫陽花の花びらをね、固めてピアスにしたんだって。ウイウイに似合いそうだと思ってつい買っちゃった。まだ付けらんねーのにな。でもいつかウイウイが大人になってもし耳に穴開けられたらさ、その時にでもつけてよ。まっ、その時まで持ってくれてたらな"
"うんっうんっ!ありがとう、桃ちゃん!大事にするっ"
あの頃小学生だった私からしたら、高校生だった3人はうんと大人に見えていて。
そんな私にとってピアスはその大人の象徴みたいなものだった。
だからピアスをプレゼントしてもらった私は嬉しくて嬉しくて。
いつかピアスの穴を開けるその日まで、大事に大事にしまっておいて、たまにそれを眺めてはそのキレイさにうっとりしていたのだった。