過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
今なら分かる。あの時のあの胸のチクチクは"嫉妬'"だったんだと。
だって、今も胸が痛い。あの頃のチクチクよりも遥かに痛い。
仲良く笑い合う2人を見ただけで、大我が桃ちゃんに向けたあの顔を見ただけでこんな気持ちになるなんて。
いつの間に、こんなに好きになっていたんだろう。
………ううん、きっと昔からずっと好きだったんだ。
でも再会してからも大我が私をちびすけと呼ぶから、いつまでも子供扱いするから、だから私は傷つかないように、この気持ちに無意識に蓋をしていた。
なのに大我が気まぐれにちょっかいなんて出すから、その蓋が開いてしまって奥底に眠らせていた初恋の種が芽を出してしまった。
私だって、本当は坂崎さんが言ってくれたみたいに、はじめて芽生えたこの気持ちを大事にしてあげたい。
ちゃんと、向き合ってあげたい。
けど、認めた途端どこへも行けないこの気持ちは、もうどうしようもない。
昔から大好きだった2人の間に割り込むつもりもない。
そもそも割り込む隙なんてない。
だったらこの気持ちは邪魔にしかならないから。
だから坂崎さん、ごめんなさい。
私はこの気持ちにもう一度蓋をします。