過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

ーーそれ以来、大我にも遥くんにも会うことはなかった。

いや、正確には私が高1の夏、1回だけ帰省していたらしい大我を見かけたことはある。

だけどその頃はちょうど私も思春期だったし友達と一緒だったし、それに何よりその時見た大我はいかにも都会の男、といった雰囲気で、もう私の知っている大我ではないような気がして。

だから私は、声を掛けられなかった。

幸い、距離もあったから大我も私には気が付かなかったみたいで。

"あんな人に纏わりついて可愛がってもらってたなんて、嘘みたいだなぁ。"

遠ざかっていく大我を見つめながら、私はまるで他人事のようにそう思っていた。




なのに、それっきりになっていた彼と、まさか数年ぶりにこんな形で再会することになろうとは、一体誰が想像出来ただろうーーーー。






< 9 / 180 >

この作品をシェア

pagetop