過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
大我が驚いたように目を見開いて、一瞬悲しそうな顔をした。
……痛いのは頭なんかじゃない、私の心だ。
そんな顔、させたい訳じゃないのに。
そして彼は行き場を無くした手をぎゅっと握って、
「……そうか。でも辛かったら言えよ?」
心配そうに眉尻を下げて言う。
「……はい。部屋で休んでますね……」
様子のおかしい私を、体調が悪いせいだと思ってくれればいい。
まともに大我の顔を見られないまま、私は自室である和室へと足早に引っ込んだ。
布団を敷いてそこへ潜り込む。
この気持ちには、蓋をするって決めたでしょう?
こんなことで揺らいでちゃダメ。
普通でいなくちゃ。
例え閉じ込めたこの気持ちが、辛くて痛くて苦しいと、内側から蓋をノックして来たとしても。
決して開かないように鍵をかけて重石を乗せて。
もう一度、心の奥底に埋めるんだーーーー。