過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
何度目かの呼び出し音の後、

"……もしもし?"

と聞き慣れた声が聞こえて、ほっとした私は泣きながら"大我、こわい、たすけて!"って言ったんだ。

まだ仲間たちと一緒だったらしい大我はすっ飛んで来てくれて、私を抱きしめて"大丈夫、大丈夫"って背中をぽんぽんしてくれた。

「食うか?」

私が落ち着いた頃、ぶっきらぼうに差し出されたのはとてもオシャレでクラシカルな長方形の箱。

「なあに?これ?」

「……チョコ」

「でも夜ご飯の前にお菓子食べちゃダメってお母さんが……」

「ははっ!お前は真面目だな。たまにはちょっとくらいいいんだよ。オレが許す。ほら、食え」

大我がパカっと箱を開けると、そこには色とりどりのツヤツヤでキラキラ光る丸いチョコレートが5つ並んでいて。それはまるで宝石みたいだった。

「うわぁっ!これほんとにチョコレート⁉︎宝石みたいにキレイ!」

「…食ったら分かる。ほれ」

そう言って大我は一粒私の口に放り込んだ。

その瞬間広がったチョコレートの甘さと、噛んだ時にとろっと出てきたいちごソースの甘酸っぱさ。
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