シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
思わず抱き返したい衝動に駆られて、引きとどまる。
「っ! 抱かないって、言ったよね?」
自分も嫌だと思っていないことはもう分かっていたけれど、でもこんな風に流されるようなのだけはやっぱりダメだと口にした。
でも、ギンはわたしを抱きしめたまま「ああ」と答える。
「言ったことは守るさ。抱かねぇよ」
そしてチュッとリップ音をわざとらしく立てて頭にキスを落とす。
「キスだけだ」
「っ……キス、だけなら……別にベッドに行かなくても……きゃあ!?」
やっとのことで口にした抗議の言葉は、グルンと回る視界に押しのけられた。
昨日と同じようにベッドに倒されシーツに埋もれる。
でも、今日はすぐに目をふさいでは来なかった。
長い指が頬を撫で、親指の腹がわたしの下唇をなぞる。
愛おしそうに、それでいてどこか妖しい眼差しがわたしを見下ろしていた。
やっぱり違うな……。
ふと、そう思う。
朝と夕方に見た、金多くんの妖しさを秘めた眼差し。
ゾクリと恐怖を煽られるような目。
同じ妖しい光を秘めた目でも、いくら兄弟でも、やっぱり全く違う。
ギンの眼差しは、怖くない。
むしろわたしの心を絡めとって、惹きつける。
「っ! 抱かないって、言ったよね?」
自分も嫌だと思っていないことはもう分かっていたけれど、でもこんな風に流されるようなのだけはやっぱりダメだと口にした。
でも、ギンはわたしを抱きしめたまま「ああ」と答える。
「言ったことは守るさ。抱かねぇよ」
そしてチュッとリップ音をわざとらしく立てて頭にキスを落とす。
「キスだけだ」
「っ……キス、だけなら……別にベッドに行かなくても……きゃあ!?」
やっとのことで口にした抗議の言葉は、グルンと回る視界に押しのけられた。
昨日と同じようにベッドに倒されシーツに埋もれる。
でも、今日はすぐに目をふさいでは来なかった。
長い指が頬を撫で、親指の腹がわたしの下唇をなぞる。
愛おしそうに、それでいてどこか妖しい眼差しがわたしを見下ろしていた。
やっぱり違うな……。
ふと、そう思う。
朝と夕方に見た、金多くんの妖しさを秘めた眼差し。
ゾクリと恐怖を煽られるような目。
同じ妖しい光を秘めた目でも、いくら兄弟でも、やっぱり全く違う。
ギンの眼差しは、怖くない。
むしろわたしの心を絡めとって、惹きつける。