シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
***

 昨日同様、ギンより先にシャワーを済ませたわたしはリビングで冷たいペットボトルのお茶を飲みながらくつろいで待っていた。

「じゃあ今からキョウのこと聞くんだ?」

 颯介さんの言葉に、わたしは「はい」と頷く。


 夕食の席で眞白が話題に出していたので、わたしが時計塔にのぼったことはみんなが知っていた。

 普通に『連絡も無く待たされてメチャクチャ心配させられたんだぜー!』と愚痴っていたのでわたしは逆にビックリだったけれど。

 でもここのみんなはキョウのことを知っているみたいで、眞白のそんな愚痴も適当にあしらっていた。


「キョウかぁ。見たことはないけど外見だけは可愛いんだろ? ユキちゃんから見てどうだった?」

「え? まあ、12、3歳くらいの可愛い見た目だったよ? 将来は美人になるだろうなーって感じの」

 ソファーから身を乗り出して聞いてくる岸本くんに、わたしは夕方のことを思い出しながら話す。


 デジタルクローンと言っていたけれど、つまりはなんなんだろう?

 デジタルってことは人ではないんだよね?

 でも受け答えは機械というより人を相手にしている様だった。

 クローンだから、誰か元になっている人がいるとか?

 それが誰なのかも教えてもらえるのかな?
< 151 / 289 >

この作品をシェア

pagetop