シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「……でも、お前もう俺のこと好きだろ?」

「っ!」

 言い当てられ、言葉に詰まる。

 否定はしないけれど、この状況でそんな風に言われたら肯定もしたくない。

 でも、わたしの言葉は必要なかったみたいだ。


 『好きだろ?』と聞いておきながら、それは確信が込められていて……。

「気持ちが通じ合ってるなら問題ねぇだろ? あとは、その気にさせるだけだ」

「んっ」

 魅惑の瞳が男としての欲望に染まる。

 その目に見つめられながらまたキスをされ、ギンの手が焦らすようにわたしのいたるところを撫でた。


「んっんんぅ!」

 ところどころビクリと体が反応してしまって、その度にギンは嬉しそうに妖しく微笑みわたしの唇を舌でなぞる。

「ふぁ……だめ、だってばぁ……」

 わたしの声も甘くなってしまっている自覚はあった。

 でも、こればかりは流されるわけにはいかない。


「はぁっ……聞けよ、俺の名前。……抱くときに教えるって言っただろ?」

「ん、はぁっ……自力で思い出せっても、言った」

 心はもう溶けきる寸前だったけれど、理性をかき集めてギンを睨みつける。


「わたし、ちゃんと自分で思い出したい……」

「……」

 要望を伝えると、ギンは押し黙りはぁ……と大きなため息をついた。
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