シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「は? え? 何? あのときそんな話してたの?」
「してたんだよ。義姉さんは何があったのか知らないけどボーッとしてたから聞こえてなかったんだね」
まあそりゃあ、突然ファーストキスを奪われてフリーズしてたんだもの……。
「俺、嬉しかったんだ。桔梗母さんにほとんど見向きもされないで戻って来て……でも兄さんにそう言われて……。少なくとも兄さんは俺を必要としてくれてるんだって分かった」
「眞白……」
「俺にとってもあのときすでに義姉さんは大事な家族だったし、なんて言うんだろう……大切な使命を受けたような……そんな気持ちになってたんだ」
大げさな、と思ったけれど口には出さなかった。
きっと眞白にとっては大げさなことではないんだろうなって、察したから。
「うん、だから本当に良かったよ。兄さんと義姉さんが恋人同士になってくれて」
「……恋人……?」
意識していなかった言葉に思考が一瞬止まる。
「何で疑問形なんだよ? 兄さんは当然義姉さんのこと好きだし、義姉さんも兄さんのこと好きならそうなるんじゃないの?」
「そ、か……。そうだよね……」
思いが通じ合ってるってギンも言っていたし、わたしもその通りだと思う。
そして思いが通じ合っているのなら、それは恋人と言ってしまっても過言じゃあない。
でもハッキリそう言ったわけじゃなかったから、恋人だと――彼氏なんだと言って良いのか自信がなかった。
それを確かめたいがために、わたしは今晩も彼の部屋へと入ってしまうのだった。
「してたんだよ。義姉さんは何があったのか知らないけどボーッとしてたから聞こえてなかったんだね」
まあそりゃあ、突然ファーストキスを奪われてフリーズしてたんだもの……。
「俺、嬉しかったんだ。桔梗母さんにほとんど見向きもされないで戻って来て……でも兄さんにそう言われて……。少なくとも兄さんは俺を必要としてくれてるんだって分かった」
「眞白……」
「俺にとってもあのときすでに義姉さんは大事な家族だったし、なんて言うんだろう……大切な使命を受けたような……そんな気持ちになってたんだ」
大げさな、と思ったけれど口には出さなかった。
きっと眞白にとっては大げさなことではないんだろうなって、察したから。
「うん、だから本当に良かったよ。兄さんと義姉さんが恋人同士になってくれて」
「……恋人……?」
意識していなかった言葉に思考が一瞬止まる。
「何で疑問形なんだよ? 兄さんは当然義姉さんのこと好きだし、義姉さんも兄さんのこと好きならそうなるんじゃないの?」
「そ、か……。そうだよね……」
思いが通じ合ってるってギンも言っていたし、わたしもその通りだと思う。
そして思いが通じ合っているのなら、それは恋人と言ってしまっても過言じゃあない。
でもハッキリそう言ったわけじゃなかったから、恋人だと――彼氏なんだと言って良いのか自信がなかった。
それを確かめたいがために、わたしは今晩も彼の部屋へと入ってしまうのだった。