シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「……やっぱり俺からする。欲しくて、たまんねぇ……」

 その声と、余裕のない表情にゾクリと心が震える。

 すぐに塞がれた唇は、深く、苦しく……それでいて甘かった。


 いつもより執拗な唇への愛撫(あいぶ)は、心も意識も溶かしてしまいそうで……。

「んっ……ギン、もう……」

 ギブアップを伝えようとするけれど、その度に言葉を押し込むようなキスをされる。


「ん、はぁ……もうちょっと良いだろ?」

 低く色っぽい声が甘えるように囁く。

 そうして今度はこめかみに軽く吸い付いた。

「んっ」

 チュッチュッとリップ音を立てて、耳たぶ、顎のライン、首筋へと下りていく。

 その色っぽいふっくらとした唇が鎖骨の辺りにきたと思ったら、強く吸われてチリッとした痛みを感じた。


「んっ……え? ギン?」

 まさかと思いながら問いかけると、ギンはわたしから唇を離し上半身を起こす。

 わたしを見下ろし、満足そうに(あで)やかな笑みを浮かべた。
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