シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
『義姉さんも父さんのこと自然とそう言えるようになったんだ?』

「まあ、あれだけダメなところを見聞きすればね……」

 渇いた笑いが漏れる。


 義父さんに対する理想や自慢が崩れ落ちていったら、もう本当にダメ親父としか思えなくなってしまった。

 でも優しかったのは本当だし、あの日お母さんを重ねてきたのもかなり酔っぱらっていたからっていうのもある。

 入ってしまった亀裂はやっぱり戻ることはないけれど、これからはまた別の形の親子になれればいいなとは思いはじめていた。


 まあ、それももう少し落ち着いてからの話になるだろうけど。


『じゃあそういうことだから、義姉さんは今日絶対シェアハウスから出ないでくれよ? 《黒銀》メンバーがそばについて守るわけにもいかないんだから』

「分かってるって。出ないよ」

 心配性な義弟に苦笑しつつ、わたしは了承の返事をして電話を切った。

***

 眞白に告げた通り、午前中はほとんど料理で終わった。

 ひじきに切り干し大根、あとはナムルとかマリネとか。

 主に副菜系統を作り置きしておく。

 そうしていると今度はお昼になって、三つ子とわたしの四人前の昼食を作った。

 他のみんなはお昼はいらないて言ってたから。
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