シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「やーっと見つけたぜ、あのクソ野郎の弱み。ホラ、これお前だろ?」

 チャラめの男はそう言うと、持っていた紙――ううん、写真をピラリとめくってわたしたちに見せる。

「っ!?」

 その写真には、確かにわたしとギンの姿が写っていた。


 でも、なにこれ? 合成写真?


 その写真は、わたしとギンが手をつないでデートかショッピングでもしているようなものだった。

 しかもギンは銀髪のウィッグを付けた状態で。


「な、に……? こんなの、知らない」

 とぼけるとかではなく実際に知らないからそう口にした。

 ギンとこんな風に出かけた事なんてない。

 大体手をつなぐのだって、触れ合うのだって、シェアハウスか時計塔でしかしたことが無い。


 だから、合成でもなければこんな写真が出来上がるわけがないんだ。


「あぁん? とぼけてんじゃねぇよ!」

「っ!」

 はじめに来た3人が怒り交じりに凄んでくる。


「お前が《黒銀》の総長の女だってこの写真付きで情報が出回ってんだよ!」

「何にしたって無関係ってわけじゃねぇだろ?」

「痛い目見たくなきゃ大人しくついて来るんだなぁ?」

「っ……!」

 わたしも優姫さんももはや涙目で震えるしか出来ない。
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