シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「終わった後のあんた、心がぶっ壊れてなきゃいいな?」
「っ!?」
ゾッとする。
その杉浦という総長のこともそうだけれど、心が壊れるなんてことを楽しそうに言う中嶋に心を氷柱で突き刺されたような……そんな痛みにも似た寒気を覚えた。
……嫌だ、行きたくない。
足が、すくんだ。
「ん? 怖気づいたか?」
足を止めたわたしに気づいた中嶋は、それでも歩みを止めない。
「ま、引きずってでも連れてくけどな」
「っあ!」
実際に引きずられそうになると、嫌でも足を動かさなきゃならなくなる。
そうして、その杉浦という総長がいる部屋へとついてしまった。
「杉浦、見つけてきたぜ。あいつの女」
「おう、入れ」
低く、唸るような声が聞こえる。
ドアが開けられ、中に押し込めるように入らされた。
大き目のソファーにふんぞり返るように座っているその人を見た瞬間にヤバイと分かる。
顔立ちは多分そこまで悪くはない。
でも、鋭く、ほの暗い光を宿す瞳が正常じゃないと感じさせる。
その目と視線が合っただけで、怖いと体が震えた。
彼はそのままわたしを上から下まで眺めると、少しだけ口角を上げる。
「……確かに、写真と同じ女だな」
無感情ともとれる淡々とした声音。
でも、いつそれが荒ぶるのか分からないといった怖さがあった。
中嶋の態度にもそれは現れている。
「っ!?」
ゾッとする。
その杉浦という総長のこともそうだけれど、心が壊れるなんてことを楽しそうに言う中嶋に心を氷柱で突き刺されたような……そんな痛みにも似た寒気を覚えた。
……嫌だ、行きたくない。
足が、すくんだ。
「ん? 怖気づいたか?」
足を止めたわたしに気づいた中嶋は、それでも歩みを止めない。
「ま、引きずってでも連れてくけどな」
「っあ!」
実際に引きずられそうになると、嫌でも足を動かさなきゃならなくなる。
そうして、その杉浦という総長がいる部屋へとついてしまった。
「杉浦、見つけてきたぜ。あいつの女」
「おう、入れ」
低く、唸るような声が聞こえる。
ドアが開けられ、中に押し込めるように入らされた。
大き目のソファーにふんぞり返るように座っているその人を見た瞬間にヤバイと分かる。
顔立ちは多分そこまで悪くはない。
でも、鋭く、ほの暗い光を宿す瞳が正常じゃないと感じさせる。
その目と視線が合っただけで、怖いと体が震えた。
彼はそのままわたしを上から下まで眺めると、少しだけ口角を上げる。
「……確かに、写真と同じ女だな」
無感情ともとれる淡々とした声音。
でも、いつそれが荒ぶるのか分からないといった怖さがあった。
中嶋の態度にもそれは現れている。