シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
銀色
「っ雪華!」
彼は――ギンは、すぐにわたしを起こし抱き締めてくれる。
嗅ぎ慣れた彼の匂いに、ホッと力が抜けた。
「大丈夫か? なにをされた?」
「だい、じょうぶ……。押し倒されただけ。まだ、何もされてない……」
ギリギリだったけれど、実際には押し倒されただけ。
それ以上になる前にギンが助けに来てくれた。
「本当か?」
「うん、寸前にギンが助けてくれたから……」
そう言って、わたしは彼に笑顔を見せる。
まだ恐怖は残っていて手が震えていたけれど、それでもギンが来てくれたから大丈夫だと伝えたかった。
腕を彼の背中に回し抱き返していたから、震えは伝わってしまったかも知れないけれど。
「雪華……もう、大丈夫だ」
わたしの震えに気づいたかどうかは分からなかったけれど、ギンはもう一度わたしを抱きしめて頭を撫でてくれる。
「ギンっ……」
その優しさに張り詰めていたものを解いて泣きたくなってくる。
でも、今はまだそんな余裕は無かった。
「ってめぇ……なんでこんなに早く来れた!? 今日は会合だって情報があったのに……」
投げ飛ばされた杉浦が痛そうにしながらも立ち上がる。
そうだ、ここはまだ敵地だ。
安心していい場所じゃない。
彼は――ギンは、すぐにわたしを起こし抱き締めてくれる。
嗅ぎ慣れた彼の匂いに、ホッと力が抜けた。
「大丈夫か? なにをされた?」
「だい、じょうぶ……。押し倒されただけ。まだ、何もされてない……」
ギリギリだったけれど、実際には押し倒されただけ。
それ以上になる前にギンが助けに来てくれた。
「本当か?」
「うん、寸前にギンが助けてくれたから……」
そう言って、わたしは彼に笑顔を見せる。
まだ恐怖は残っていて手が震えていたけれど、それでもギンが来てくれたから大丈夫だと伝えたかった。
腕を彼の背中に回し抱き返していたから、震えは伝わってしまったかも知れないけれど。
「雪華……もう、大丈夫だ」
わたしの震えに気づいたかどうかは分からなかったけれど、ギンはもう一度わたしを抱きしめて頭を撫でてくれる。
「ギンっ……」
その優しさに張り詰めていたものを解いて泣きたくなってくる。
でも、今はまだそんな余裕は無かった。
「ってめぇ……なんでこんなに早く来れた!? 今日は会合だって情報があったのに……」
投げ飛ばされた杉浦が痛そうにしながらも立ち上がる。
そうだ、ここはまだ敵地だ。
安心していい場所じゃない。