シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
***
「梶白さん、お願いがあるんだけど」
帰る準備をしていたわたしに声を掛けてきたのは比較的仲の良いクラスメイトだった。
あくまで比較的、だけれど。
入学式前と、2年になる始業式前にことごとく不幸ごとがありクラスにいまだ馴染めていないわたし。
そんなわたしをよくグループ行動などしなければならないときに入れてくれる子たちの1人だ。
でも、率先して声を掛けてくれるのは彼女ではなくて――。
「ごめんなさい、この鍵時計塔の管理室に戻してきてくれないかな?」
心から申し訳なさそうな表情をした美人さんがそう言って、見た目だけは古そうな鍵を差し出してきた。
彼女は住吉優姫。
栗色の髪はストレートだけどゆったりとしたボリュームがあり、こげ茶の目は少し釣り目だけれどまつ毛が長くてくっきりしている。
100人中100人が美人だと言うだろう。
いつも声を掛けてくれるのはこの優姫さんだ。
「水野先生に頼まれたんだけど、あたし今から用事があって……」
「水野先生ビビリだからねー」
最初に声を掛けてきた子が苦笑気味に笑った。
「梶白さん、お願いがあるんだけど」
帰る準備をしていたわたしに声を掛けてきたのは比較的仲の良いクラスメイトだった。
あくまで比較的、だけれど。
入学式前と、2年になる始業式前にことごとく不幸ごとがありクラスにいまだ馴染めていないわたし。
そんなわたしをよくグループ行動などしなければならないときに入れてくれる子たちの1人だ。
でも、率先して声を掛けてくれるのは彼女ではなくて――。
「ごめんなさい、この鍵時計塔の管理室に戻してきてくれないかな?」
心から申し訳なさそうな表情をした美人さんがそう言って、見た目だけは古そうな鍵を差し出してきた。
彼女は住吉優姫。
栗色の髪はストレートだけどゆったりとしたボリュームがあり、こげ茶の目は少し釣り目だけれどまつ毛が長くてくっきりしている。
100人中100人が美人だと言うだろう。
いつも声を掛けてくれるのはこの優姫さんだ。
「水野先生に頼まれたんだけど、あたし今から用事があって……」
「水野先生ビビリだからねー」
最初に声を掛けてきた子が苦笑気味に笑った。