シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「……見たところケガとかは無いな。嫌なことされてねぇか?」
近づきながらそう言ってくる伊刈くんに「大丈夫」と笑顔で返すと、岸本くんがすぐ近くに来てわたしの両手を取った。
「本当か? 変なとこ触られてないか!?」
手をギュッと握られてビックリしたけれど、それだけ心配されてるんだと分かって彼にも「大丈夫だよ」と返す。
でも伊刈くんのゲンコツが彼の脳天に入り、すぐに手は離された。
「ってぇ! 何すんだよ!?」
「お前が気安く手ぇ握ってるからだろ。ギンさんに殺されるぞ?」
「え? あ、そっか。ごめんユキちゃん!」
「ううん、大丈夫だよ」
いつもと変わらぬ様子の2人に苦笑する。
「ってかそのギンさんはどうしたんだ? ユキちゃん残して」
痛そうに頭を両手で押さえながら、岸本くんは不思議そうに周囲を見回した。
「あ、ギンなら夕飯作ってくれるって言ってキッチンに――」
『え!?』
言い終わらないうちに2人は声を揃えて驚きを示す。
「ギンさんが料理!?」
「してるとこ見た事ないぞ!?」
「そうなの?」
聞き返しながら、だとしたら尚更どんな料理を作るんだろうと楽しみになった。
意外と下手だったりして。
それでも出来る限り食べるけど、なんて思っていたわたしはバカだった。
そう、ギンは基本何でも出来る人だったんだ。
近づきながらそう言ってくる伊刈くんに「大丈夫」と笑顔で返すと、岸本くんがすぐ近くに来てわたしの両手を取った。
「本当か? 変なとこ触られてないか!?」
手をギュッと握られてビックリしたけれど、それだけ心配されてるんだと分かって彼にも「大丈夫だよ」と返す。
でも伊刈くんのゲンコツが彼の脳天に入り、すぐに手は離された。
「ってぇ! 何すんだよ!?」
「お前が気安く手ぇ握ってるからだろ。ギンさんに殺されるぞ?」
「え? あ、そっか。ごめんユキちゃん!」
「ううん、大丈夫だよ」
いつもと変わらぬ様子の2人に苦笑する。
「ってかそのギンさんはどうしたんだ? ユキちゃん残して」
痛そうに頭を両手で押さえながら、岸本くんは不思議そうに周囲を見回した。
「あ、ギンなら夕飯作ってくれるって言ってキッチンに――」
『え!?』
言い終わらないうちに2人は声を揃えて驚きを示す。
「ギンさんが料理!?」
「してるとこ見た事ないぞ!?」
「そうなの?」
聞き返しながら、だとしたら尚更どんな料理を作るんだろうと楽しみになった。
意外と下手だったりして。
それでも出来る限り食べるけど、なんて思っていたわたしはバカだった。
そう、ギンは基本何でも出来る人だったんだ。