シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
 そうして食事は進んで行き、途中で颯介さんも帰って来る。

「俺の分は!?」

 と叫んでいたけど、ギンはちゃんと寄せておいたらしい。

 そういうところも抜け目ない。


 そうして食事も終わりに差し掛かる頃には、みんなで真面目な話になっていた。


「……で? 警察の方は大丈夫だったのか?」

 というギンの質問には颯介さんが答える。

「ああ、タイミングバッチリ。《黒銀》のやつらは1人も捕まってないぜ」

「タレコミもバッチリだぜ!」

 続いたのは岸本くんだ。

 どうやら岸本くんと伊刈くんは警察に通報と密告をしていたらしい。


 彼らの話だと、《黒銀》は普段杉浦たちの悪事を調査していたんだとか。

 やつらはギンに恨みを持っているし、放置しておくと何をされるか分からないところがあった。

 だから奴らの悪事の証拠を集めて警察に捕まえてもらおうと動いていたらしい。

 丁度今日はその証拠を整理して密告する準備をしていたんだとか。


「はぁ、そうだったんだ……」

 感心するような相槌を打ちながら、でも……と思う。

 それって、暴走族って言うより探偵っぽくない?

 心の中で突っ込みつつも、元々暴走族を名乗るつもりもなかったみたいだから良いのかな? と自分で納得する。
< 209 / 289 >

この作品をシェア

pagetop