シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「……6時半か……」

 まだゆっくり出来るな、と言う彼とは逆にわたしは起きなきゃな、と思う。


「朝ごはんとお弁当作らなきゃ……。今日は学校だし」

 そう口にして頭を切り替えようとしたけれど、ギュッと抱きしめられて「今日は休め」と言われた。


「昨日は色々あってまだ疲れてるだろ? 今日くらい休めよ。学園には眞白から連絡入れさせればいい」

「でも……」

「いいから休め」

 有無を言わせぬ言葉に、わたしはたまにはいいかと思い直す。

 シロガネの言葉はあくまでわたしを気遣ってくれたものだ。

 だったら、たまには休んでも良いのかも知れないと思った。


「……うん、分かった」

 そう返事をしつつ、でも朝食は作らなきゃな、と思う。

 けれど、シロガネの腕の中が心地よくて……もう少しだけこのままでいたいと思った。


 ……。
 …………。

 結果、二度寝してしまったわたしは朝食作りに間に合わず、朝もシロガネに作ってもらうこととなった。


 ……うん、朝起きる時間だけはちゃんとしとこう。

 反省した。
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