シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「ドイツ語で、直訳すると黒いリンゴって意味。リンゴは聖書で知恵の実とも言われてるからそう言ってるんじゃないかな?」

「はあ……でも何でドイツ語なんですか? 普通に日本語でいいじゃないですか」

「それはこいつらが白雪姫推しだからだろ」

「は?」

「白雪姫のグリム童話ってドイツの話だから」

「ああ……」

 そこまで聞いてやっと1つ納得する。


 確かにこの3人は何かと白雪姫ネタを絡ませてくるから。

 でも、それはそれで普段から思っていた疑問が浮上してくる。


「だいたいにして、どうして3人はそこまで白雪姫にこだわってるんですか?」

「そりゃあ、こいつらギンのこと大好きだからだろ」

「は?」

 颯介さんいわく、シロガネは白雪姫の魔女っぽいから、彼のことが大好きな三つ子は色んなものを関連付けたがるらしい。


「それはそうだけど」
「よく言うよ、颯介さんだってギンさん大好きなくせに」
「ギンさんラブ仲間」

「……否定はしないけど、なんだよそのラブ仲間って」

「ふふ……でも本当にシロガネってみんなに慕われてるんだね」

 4人の掛け合いを見て少し笑いながら、しみじみと思う。


 美しく妖艶で、強くカリスマ性のあるシロガネ。

 でも多分、一番みんなを惹きつけるのは彼の本質から来るものなんだと思う。
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