シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
***

「なんか、三つ子にいいアドバイスくれたんだってな?」

 いつものように夜シロガネの部屋に連れ込まれて、先にベッドに座った彼がそう言った。

「アドバイスになるのかな? 大した事言ってないんだけど……」

「それでも聞いてよかったって言ってたからな。ありがとう、俺からも礼を言うよ」

「そんな、本当に大した事言ってないから」

 改めてちゃんとお礼を言われて恐縮してしまう。


「でも、シロガネの助けになれたなら嬉しい」

 思っていたことをそのまま伝えると、「来いよ」と腕を伸ばされた。

 ためらいもなく誘いに乗って近づくと、そのまま腕の中に閉じ込められる。


「そういう可愛いことばっかり言ってると、襲っちまうぞ?」

「今日は襲わないの?」

 逆に問い返す。


「襲いてぇけど、いきなり毎日とかキツイだろ?」

「シロガネ……」

 彼のわたしへの執着を思うと、毎日でも求められそうだと思っていただけに少し驚いた。

 でも、大切にしてくれてるということに愛しさが溢れ出てくる。


 毎日は確かに困るけれど、でも多分わたしは拒まないと思う。

 ぜんぶをあげたいと言った昨日の言葉は、今もわたしの思いとして心の中にあるから。
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