シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
 受け止めきれそうに無いほどの熱量を秘めた瞳に見下ろされ、ゾクリと背筋が震える。

「あ……」

 その熱量につられたのか、その目に見つめられるだけで体が熱くなってきた。


 また彼の顔が近づき、今度はついばむようなキス。

 でもその吸いつく力は強く、全てを持っていかれそうになる。


 その間に彼の長い指がわたしの色んなところを撫でた。

 耳のふちから耳たぶ。

 うなじに、肩を通って腕をたどり、指先まで。


 わたしの体のすみずみまで触れようというかのように、じっくり撫でられわたしはさらに熱を持った。


 熱くて、熱くて……。


「も、むりぃ……」

 ギブアップした。


「何が?」

 分かっているだろうに、甘くささやくように聞かれる。

 しかもそのまま唇を舐められた。


「んっ、ごめんなさいぃ」

 半泣きのまま謝ると、やっと許してくれたのかフッと笑うような音が聞こえた。

「もう煽る様なマネしないな?」

「しないっ、言わないからぁ」

 熱のせいもあって目に涙を溜めた状態でうったえると、スッと少し視線をそらされる。


「……それもちょっと煽ってるけどな……。ま、俺のせいか」

 少し頬が赤いように見えるのは気のせいだろうか?
< 234 / 289 >

この作品をシェア

pagetop