シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
 優姫さん、今日来てないってことは昨日も来てなかったのかな?

 変に思いつめてなきゃいいけど……。


 そんな風にボーッと考えていると、突然声を掛けられた。

「梶白さん、今大丈夫?」

「へぇい!?」

 考え事をしていたせいでつい大きな声を出してしまった。

 見ると、優姫さんの友達の1人がわたしを見て目を丸くしている。


「ご、ごめん。考え事してて……今大丈夫だよ、どうしたの?」

「あ、うん。先週言ってたお礼したいと思って。ジュースおごるから来てくれる?」

「え? ああ、カギの返却のこと?」

 言われるまで忘れていたけれど、そういえばこの子に頼まれて鍵を返しに行ったんだった。


「お礼とかいいって言ったのに」

「それじゃああたしの気が済まないの。お願いだから貰ってちょうだい」

「……うん、分かった。ありがとう」

 そこまで言われたら断り続けるのも悪いと思って、お礼を受け取ることにする。


 2人で自販機の前まで行き、「どれにする?」と聞かれて値段的にも丁度良さそうな野菜ジュースを選んだ。

 今日のお弁当、ちょっと野菜が足りなかったしね。


「はい、ホントありがとうね」

「いえいえ、こちらこそ」

 そんな言葉を交わしながらジュースを受け取り、2人で教室へと戻る。


 その途中で遠慮がちに質問された。
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