シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「その……今までなんかごめんね?」

「え?」

 いきなり謝られてどうしたのかと目を丸くする。


「いつも1人でいる梶白さんをたまにグループに入れてあげてるからって、なんか都合よく使ってたんじゃないかなって気づいて……だから、ごめん」

「……」

 まさかそのことを謝られるときが来るとは思ってなくて、驚いたまま黙ってしまった。


「それで、だからってわけじゃないけど……これからはもうちょっと話しかけたりとかしてもいいかな?」

 しかも仲良くなりたいみたいなことを言われて目をパチパチしてしまう。

 でもすぐにハッとして「もちろん」と答えた。


 都合よく使われて嫌な気持ちになることはあったけれど、別にだからと言って彼女を本気で嫌ったことはない。

 今みたいに、気遣ってくれるときだってあったし。

 だからすぐにそう返事をした。


「本当に? 良かった。梶白さんいつも本読んでて話しかけづらかったからダメなのかと思ったよ」

「あ……」

 その言葉で気づく。

 わたしに友達が出来なかったのはわたし自身にも問題があったことに。


 1年のときは頑張って話しかけようとしたこともあったけれど、初めましての人の方が多いから結局仲良く出来ずに終わった。

 でも、2年のときは顔見知り程度の人はいたし、多分頑張れば仲良くなれる子はいたんだ。

 なのにわたしは1年のときと同じ状況だと早々に見切りをつけて、休み時間などは本ばかり読んでいた気がする。
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