シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

同居

　泣きながら走ったせいでかなり苦しかったけれど、何とか眞白について行って大きな家にたどり着く。

　もしかしてここに住むことになるんだろうか？

　この時になって、やっとわたしはこれからのことを考えられるようになった。


「っねえ……わたし、ここに住むの？」

　玄関先で息を整えながら同じく息を整えている眞白に聞く。

「ああ。ここ、柚木家所有のシェアハウスなんだ」

　わたしより早く呼吸を整えた眞白が説明してくれる。


　眞白の亡くなったお母さんは柚木商事の会長の娘で、本人も副社長を務めていたというエリートだ。

　柚木城学園も基本的には理事長を柚木家の人間が務めているし……。

　まあつまりは、色々手広く会社経営をしている一族ってこと。

　もっと簡単に言うと大金持ちってやつ。


　柚木家所有と言うなら、会社とかは関係なく柚木家が個人的に所持している建物ってことだろう。

　でも、シェアハウスって言うなら……。


「え？　でも手続きとかしなくていいの？　家賃とか、初期費用とか……」

　やっと息を整えることが出来たわたしは、一度泣いたこともあって考える力を取り戻して聞いた。

　でも眞白は「いいのいいの」と軽く答える。
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