シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
 そんなんじゃあ周りも話しかけづらかったに違いない。


「……なんか、わたしのほうこそごめん」

「いや、なんでそこ謝るの? そうそう、本と言えばこの間梶白さん読んでたやつ気になってたんだよね。あれってどんな話なの?」

「ん? どの本のこと?」

 そんな風に話しながら教室に戻ったから、流れで昼食を一緒に食べることになった。

 グループの中に誘われる形で一緒に食べたけど、他の子達ともそこそこ話すことが出来て、最後には明日からも一緒に食べようよと言ってもらえた。


 嬉しくて胸が温かくなったけれど、本来はここに優姫さんもいたんだと思うと少し痛む。

 優姫さんのこと、もう少し何とかしてあげられないかな?


 シロガネも優姫さんも、金多くんはキョウのせいでおかしくなっているだけだと言っていた。

 でもわたしはそんな風に思えない。

 優姫さんと別れたからと言ってわたしを好きでもないのに家に誘ってくる金多くん。

 普通に不誠実にしか見えなかった。


 ……金多くんと話してみた方がいいのかもしれない。

 優姫さんのことでは文句も言いたかったし。


 そう思っていたから、わたしは帰りに眞白を待っている間また話しかけてきた金多くんの誘いに乗ったんだ。
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