シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
　金多くんは知られたくないんだろうけれど、彼に会いたいと泣いていた優姫さんを思えば伝えた方が良いと思ったんだ。

《うん、いいよ？》

《じゃあまた夜に》

　そうしてお昼はいったんメッセージのやり取りを終わらせた。

＊＊＊

　夜はいつも騒がしい岸本くんがいないから静かになるかなと思ったけれど、代わりに眞白がいたおかげで別の意味で騒がしかった。


「あ、眞白これちょーだい」
「俺も」
「俺はこっち」

「いつもいつも俺のおかず取るんじゃねぇーーー！」

　夕食の席では眞白と三つ子がじゃれ合ってたし。


「眞白、ゲームでもするか？」

「え？　颯介さん対戦してくれるんですか!?」

　夕食後のリビングでは颯介さんと何やらゲームで対戦していて白熱していた。


　何だかんだで眞白はみんなに可愛がられているみたい。

　シロガネがみんなのお兄ちゃんっていうなら、眞白はみんなの弟って感じだな。


　そんな様子を見ながら何度も時計を見て時間を気にしていたからだろうか。

　気づいた颯介さんに意味深な笑みを向けられてしまった。


「何？　ギン遅いなーとか思ってる？」

「なっ!?　違いますよ！」

　事実時間を気にしていたのはそっちじゃなくて優姫さんからの電話の方だ。
< 255 / 289 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop