シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「で、そこの三つ子はクロ、セキ、ハク。誰も見分けつかないからまとめて呼ぶとか、三つ子って呼んどけばいいから。年は眞白と同じな」

「ええ?」

 いいのそれで?

 アバウトすぎる説明に本当にいいのかと3人を見るけれど、彼らは気にした様子もなく揃って片手を上げて挨拶してくれた。


「よっ」
「ども」
「よろしく」

「よ、よろしく」


 ……うん、本当に見分けつかないね。

 薄茶の髪色も髪形も、茶色の目の色も耳の形も。全部が同じにしか見えなくてわたしは早々に見分けるのを諦める。

 まあ、本人たちも気にしてないみたいだし……仕方ないよね。


「で、三つ子。この子がユキちゃんだ!」

 そして颯介さんは簡潔すぎるわたしの紹介をしてくれる。


 いや、せめて本名で自己紹介させて。


 そう思ったのに、3人はわたしのことをよく知っているらしい。

「おお、この子が梶白雪華」
「真ん中取ったら白雪」
「総長の女予定だから、まさに白雪姫」

 わたしが名乗るまでもなくフルネームを口にされ、しかも聞き捨てならないことを言われた。


「は? 総長? 女予定?」

 意味が分からなくて聞き返すと、颯介さんが呆れたような声を上げる。
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