シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「おい眞白。まさかそれも話してないのか?」

「あーうん。ここ1年半は色々あったし……中々話すタイミングも掴めなくて……」

 わたしを挟んで交わされる会話にいい加減腹が立ってきた。

 いくら何でもわたしが知らないことが多すぎる。


「ちょっと眞白!? ちゃんと説明して!」

 目を吊り上げて本気の怒りモードになったわたしに、眞白は姿勢を正して「はい! お義姉様!」と叫んだ。

***

 ソファーに3人で座って改めてちゃんと話を聞いた。

 三つ子はまた画面に向かってカタカタやり始めたけれど。


 とりあえず、このシェアハウスは暴走族《黒銀》の幹部が住んでいる場所らしい。

 颯介さんと三つ子、そして総長でもある眞白の一番上の兄。

 他にも2人いるらしいけれど、今日は帰ってこないとかで紹介はまた明日と言われた。


 しかも眞白も一応幹部の1人という事になっているらしい。


「……知らなかった……」

 暴走族みたいな不良グループがいくつかあることは知っていたけれど、わたしとは全く関係のない話だと思っていたから。

 まさか義弟がその幹部になってるなんて……。

 しかも何?


「眞白は姫の世話役? とか言った?」

「そ、要はユキちゃんの世話な。護衛とも言うけど」

 護衛、護衛ね……。
 まあ、それはひとまずどうでもいい。

 肝心なのは――。
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