シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「あーほら、昨日ギンが魔女って呼ばれてるって俺言っただろ?」

「俺は納得してねぇけどな」

 すかさずギンがムスッとした顔で不服をもらす。

 でも颯介さんはそれを「まあまあ」となだめて話を続けた。


「ギンって何か事情があるのか、総長として外に出るときは長い銀髪のウイッグ付けてるんだよ。その姿がまたなんていうか妖艶で……」

「長い銀髪……」

 その話に時計塔でのギンの姿を思い出した。


「ケンカも強いから普通だったら悪魔とか魔王とかに例えられそうなんだけど、その姿もあって魔女って言われてるんだ」

「……確かに」

 なんか、納得した。

 時計塔で見た時のギンは今よりもっと妖艶で、言葉にしがたい色気があった。

 わたし自身見てすぐに魔女だと思ったし。……噂のせいもあるけど。


「で、リンゴが好物なのかしょっちゅうリンゴ丸かじりしてるんだけど。そのせいで白雪姫の魔女みたいに連想しちゃうんだよな」

「ああ……」

 昨日帰って来たときもだけど、時計塔でもリンゴ丸かじりしてたなぁと思い出す。

 魔女とリンゴの組み合わせなら確かに白雪姫の魔女を思いついちゃうのかも。


「しかも眞白も入れると幹部が丁度7人だろ? 俺たちは7人の小人ってわけ」

 まあ、それを言ってるのは三つ子だけだけどな。と付け加える。

 小人が白雪姫じゃなくて魔女と一緒にいる時点でもう関係なくなると思うんだけど……。
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