シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「で、ユキちゃんはギンの女だから姫ってことになるし」

「あくまで予定ですよね!?」

 一応そこは突っ込んでおいた。

「まあまあ。とにかく、名前の漢字も似てるから三つ子はユキちゃんを白雪姫に当てはめちゃうんだろうってこと」

「はあ……」

 まあ、理由は一応理解した。

 受け入れるかは別として。


「それはそうと、ユキちゃんが食事の用意してくれるっつーなら俺も大歓迎。作れるやついなかったからコンビニ弁当とかで我慢してたけど、手料理食えるならその方がいいからな」

 ということでおおむね皆には賛成してもらえた。

 あとはギンの意見だけれど……。


 どうかな? と小首をかしげながら見上げると、ギンはなぜかわたしの顔をジッと見て固まってしまった。

「ん? ギン?」

 呼びかけると、目を閉じて「はぁ……」とため息をつかれてしまう。

「そういうの俺以外にやるなよ?」

「え? そういうのって?」

 分からなくて聞いたけれど、その答えはもらえなかった。


 代わりに、食事の用意の方はOKだと答えてくれる。
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